【かものはし活動報告】誰にも頼れないお母さんと赤ちゃんをひとりにしない

2026.02.06 かものはしプロジェクト


皆さん、こんにちは!
東京マラソン2026チャリティ寄付先団体のかものはしプロジェクトです。
東京マラソン2026チャリティを通じて活動を応援いただき、誠にありがとうございます。

今回は、私たちの取り組みの一つである、妊産婦さんの支援についてご紹介いたします。

私たちは、こどもが虐待で苦しむことのない社会をつくるために、児童養護施設を出たこどもたちの支援に加え、虐待を未然に防ぐ「予防」の取り組みにも力を入れています。

その鍵は、妊娠期からの孤立を和らげることにあると考え、妊産婦さんと赤ちゃんの居場所「ふたやすみ」を千葉県松戸市にオープンしました。
宿泊・居場所・訪問の3つの関わり方で、困りごとを抱え、孤立しがちな妊産婦さんをサポートしています。


「ふたやすみ」で生まれる つながりといのち 
ある日、赤ちゃんが産まれたばかりのお母さんのご自宅を訪問したときのこと。
疲れていながらも穏やかな様子のAさんと、小さな赤ちゃんの姿に、妊娠期からともに歩んできたスタッフたちは、胸がいっぱいになりました。

ふたやすみのメンバーたち ©︎Tommy


皆さまのあたたかい応援により、ふたやすみがスタートしてから、妊産婦さんとお子さんたちの生活を支え、新しく5人の命の誕生をともに喜ぶことができました。
けれど、一人ひとりが「ふたやすみ」に辿り着くまでの道のりは、決して平坦ではありませんでした。
今回は、「ふたやすみ」につながったAさんのストーリーをお届けします。
※利用者の方々の尊厳とプライバシーを大切にするため、ふたやすみでの実際の体験をもとに、内容を組み合わせて再構成し、表現しています。予めご了承ください。

誰にも頼れず、一人で悩んでいたAさん
妊娠がわかったとき、Aさんには頼れる人がいませんでした。
両親から虐待を受けてきたことで、絶縁状態にあり、またパートナーとも折り合いがつかず、別居が決まっていました。


働いていた職場の経営も不安定で、いつ収入が途絶えるかわからない状況。日々の生活はギリギリで、借金も抱えていました。

「もう、誰も信じられない。一人でこの子を守らなきゃ…」
Aさんは不安と孤独の中で、出産を目前にしていました。

ふたやすみに入ってきた一本の電話
「どうしても、心を開いてくれない妊婦さんがいる。ふたやすみで、訪問をしてもらえないか?」
ある日、行政の職員から一本の電話がはいりました。

誰も信じないと心に決め、険しい表情で最低限の受け答えしかしないーーそれがAさんでした。
妊娠37週目、出産はすぐそこまで迫っていました。



出産まであとわずかという時期、ふたやすみのスタッフがAさんの自宅を訪ねました。
Aさんはいつものように、「はい」か「いいえ」しか発しません。


スタッフは、ただ隣に座り、話を聞きました。

「大変だったね」
「よく眠れてる?」

状況を否定せず、Aさんの気持ちを受け止めているうちに、Aさんの心は少しずつほどけていきました。

何度もご自宅に伺い話を聴くうちに、少しずつスタッフを受け入れてくれるようになり、病院での検診にも一緒に行ってくれるようになりました。

「ここにいていいんだ」と思えたふたやすみ



誕生した赤ちゃんをスタッフが抱っこしながらあやしている間、Aさんは、「疲れたから、ちょっと寝たい」と言って、寝室に向かいます。


リビングには、他の家族の赤ちゃんやこどもがいて、お昼ご飯のハンバーグを皆で美味しそうに食べています。

ここでは、頼っていい。甘えていいんだ。私のことも、赤ちゃんのことも、喜んでくれる人がいる。

「誰も信じられない」と心に決めて張り詰めていた表情は、少しずつ柔らかい笑顔に変わっていきました。
Aさんは、今もふたやすみに繋がり続けています。


「つながり」がいのちを支え、育んでいく
ふたやすみでは、Aさんのように誰にも頼れず孤立している妊産婦さんと赤ちゃんが、誰かとつながり、安心して過ごせるように寄り添っています。

経済困窮や精神疾患、DVなど、いくつもの困難を生き抜いてきた彼女たちだからこそ、
「誰かに頼ってもいいんだ」
「なんとかなるかもしれない」と感じてほしい。

妊産婦さんが、誰かとのつながりの輪のなかで、もともと持っていた力を取り戻し、またその横で新しい命が生まれ、みんなで育んでいく。
ふたやすみはそんな場所であり続けたいと願っています。


※かものはしプロジェクトは、東京マラソン財団チャリティ RUN with HEARTの寄付先団体です。
東京マラソン財団チャリティ RUN with HEART公式ウェブサイト
https://www.runwithheart.jp/