気になるカンボジア情勢と「若者の家」卒業生大学進学後の状況をお伝えします

2025.08.14 国境なき子どもたち

こんにちは。国境なき子どもたち(KnK)です。
今月は来春の東京マラソン2026チャリティのKnK支援先でもあるカンボジアについて、気になる昨今の情勢とKnK自立支援施設「若者の家」卒業生レアッケナさんの大学進学後の様子をお伝えします。

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カンボジア情勢とKnKの現地対応について    

報告:広報担当 村松 知恵子


数日来、大きく報道されていますが、カンボジアとタイの国境地帯で武力衝突が起きています。国境なき子どもたち(KnK)は現在、カンボジアでの教育支援活動を行っており、現地の動向が気になっていらっしゃる皆さまへ、簡単ではありますが現状をお知らせいたします。
8月8日現在、同地の子どもたちと現地スタッフ、日本人派遣員のいずれも安全に過ごしております。


このカンボジア―タイの国境間の戦闘に関しては、7月29日に無条件での停戦合意の報道が出たところですが、これに先立つ7月25日には、カンボジア北西部に関して、日本国外務省が発する危険レベルが3(渡航中止勧告)に上がりました。KnKが支援事業を行っているバッタンバン州とバンテアイミエンチェイ州の一部、そして以前に事業を実施していたパイリン州と、新規事業先として検討中のウドーミエンチェイ州の大部分がレベル3に指定されました。
バッタンバンはタイ国境から110キロほど離れているため、現時点で特段の危険はないものと考え、通常通りの活動を行っております。
一方でバンテアイミエンチェイ事業に関しては、今年度の実施対象地2つの内、トゥマポークが国境から約25キロのため、7月25日の時点で週末以降の活動(同等性教育クラスと建設)を中断いたしましたが、8月5日に再開しました。もう1ヵ所のプレネットプレアについては内陸に位置しており、通常通り活動を実施しております。
KnKでは今後も状況を注視し、安全の確保を最優先にカンボジアでの活動を進めてまいります。
▼カンボジアにおけるKnKの活動
https://knk.or.jp/news/world/khm/
▼2025年夏のご寄付のお願い
https://knk.or.jp/info250625/
▼寄付金控除について
https://knk.or.jp/donate/tax/

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「若者の家」卒業生大学進学後の状況について
報告:カンボジア事業担当 三喜 一史


国境なき子どもたちでは、2000年よりカンボジアのバッタンバン州で支援が行き届きにくい15歳以上の未成年を主な対象とし、自立支援施設「若者の家」を運営しています。本稿は2024年12月にKnKのウェブサイトで紹介した大学に進学したレアッケナの近況を報告させていただきます。
関連記事:今年もカンボジアの「若者の家」から大学進学者が出ました(2024.12.20)

国立バッタンバン大学

去年の12月に国立バッタンバン大学に入学したレアッケナですが、変わらず勉学に励んでいます。大学では会計を専攻している他、今年は数学、哲学、英語、経営管理の授業を受けています。一番好きな授業は哲学で、その中でのディスカッションが楽しいとのことでした。

大学に入学してから変化もありました。昨年の記事の中で高校卒業試験の成績が良かったために学費免除の奨学金を得られたとお伝えしましたが、授業スケジュールが厳しく、アルバイトなど仕事をする時間が持てないという問題に直面しました。現地の求人状況を見てもアルバイトなどのパートタイムでの仕事そのものの数が少なく、多くは平日の朝から夕方までのフルタイムでの求人ばかりです。彼女自身、とても悩みましたが、大学に通うためのアパート賃料や食費といった生活費全てを家族に頼るわけにもいきませんでした。そもそも家庭の経済的な事情もあり「若者の家」につながった経緯もあるので、これらの出費は大きな負担となりました。
そんな中、生活費を自身で賄えるだけの収入の得られる仕事を見つけることができました。この仕事は今大学で専攻している会計関連の業務経験を積めることができるため、「若者の家」のスタッフとも相談し、悩み、この仕事を取ることにしました。大学での勉強はもちろん継続していきますが、授業を週末にまとめて取ることにしました。しかし、奨学金の条件が「平日のスケジュールで履修すること」とあったため奨学金を諦めることになりました。
ひとえに奨学金と言っても、学生にとって完璧なものでは無いようで、状況によっては色々なことを天秤にかけなければなりません。レアッケナの判断が「ベスト」だったかはわからないですが、状況を考慮すると「ベター」だったと信じています。
この半年で一人暮らしを始め、時間割も変わり、新しい仕事も始め、と多くの変化がありました。「この半年で何が一番大変だった?」と聞いてみました。そしたら「色々と慣れたからわからない」と返答しました。たぶん、色々とあったと思いますが、答えた時の表情からは、これからを前向きに考えたい、との意思表示でもあったのかなと感じました。

学業と仕事の両立に挑戦しているレアッケナ
大学卒業はもちろん大きな目標ですが、当面は今の仕事に慣れ、試用期間を乗り越えること、と目標を語ってくれました。



~国境を越えてすべての子どもに教育と友情を~
国境なき子どもたち(KnK)は、1997年に日本で設立された国際協力NGOです。これまで15ヵ国(地域)において23万人以上の子どもたちに教育機会を提供し、自立を支援してきました。2025年現在は、6の国と地域で教育支援を継続しています。
「共に成長するために」という理念を継承しつつ、世界の子どもたちに教育と友情を届けられるよう、さらに力を尽くして参ります。
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https://knk.or.jp

国境なき子どもたちは、東京マラソン財団チャリティ RUN with HEARTの寄付先団体です。
KnK is an official charity of the Tokyo Marathon Foundation Charity RUN with HEART.