【東京マラソン2024チャリティ 使途報告】モザンビーク:病院や診療所の水・衛生環境が改善

2025.07.02 認定NPO法人ウォーターエイドジャパン

東京マラソン2024チャリティ 寄付金使途報告


Image: WaterAid/ Ricardo Franco


2024年3月3日(日)に開催された東京マラソン2024。ウォーターエイドは、東京マラソン財団チャリティRUN with HEART の寄付先団体として同大会に参加しました。ウォーターエイドを寄付先に選んで出場されたチャリティランナー38名も、沿道から多くの声援を受けて無事全員が完走しました。



Image: @東京マラソン財団/ウォーターエイドジャパン


東京マラソン2024チャリティを通じてお寄せいただいた大きなご支援は、モザンビークのニアサ州クアンバ郡における5つの病院・診療所の水・衛生環境を改善するプロジェクトで、大切に使わせていただきました。


2024年4月~9月、 ウォーターエイドは現地政府や企業、団体と連携しながら事業を進め、5つの病院・診療所すべてで水・衛生設備が完成しました。また、完成した設備を維持・管理する体制を整える活動に力を入れています。温かいご支援をお寄せいただき、ありがとうございました!


下記にて、本プロジェクトの詳細をご報告します。


Image: WaterAid/ Ricardo Franco



モザンビーク:二アサ州クアンバ郡の病院や診療所における水・衛生を改善する-事業3年目の変化


世界の最貧国のひとつであるモザンビーク。北部のニアサ州では、60%の人々が貧困ライン以下で暮らしており、清潔な水を利用できるのは人口の38%、適切なトイレを利用できるのは27%にすぎません。


また、病院や診療所など、人の命を守る保健医療施設でも水やトイレが使えないことは、ニアサ州クアンバ郡の最大の問題のひとつです。クアンバ郡にある保健医療施設のうち、施設内で清潔な水を利用できる割合は、わずか21%です。保健医療施設に清潔な水やトイレ、手洗い場がなければ、施設や医療器具を清潔に保つことができず、適切な医療サービスを提供することができません。医療従事者は治療中に手を洗うこともできず、出産時に母親や新生児の安全を確保することもできません。

このような問題を解決するため、ウォーターエイドは2022年より、クアンバ郡における保健医療施設の水・衛生を改善する3年間のプロジェクトを実施しています。ニアサ州クアンバ郡のなかで最も水・衛生が行き届いていない保健医療施設5か所を対象とし、給水システムとトイレの設置、衛生習慣の普及を通して、地域の人々が安心して医療サービスを受け、健康な生活を送れるようになることを目指しています。また、この取り組みを「モデル」として、保健医療施設の水・衛生状況の改善に注力するよう、現地政府に働きかけています。

プロジェクト3年目となる2024年4月~9月、 ウォーターエイドは現地政府や企業、団体と連携しながら事業を進め、クアンバ郡ではさまざまな変化が起こっています。


Image: WaterAid/ Ricardo Franco


①保健医療施設5か所の水・衛生設備が完成
対象の保健医療施設5か所で、給水システムの建設・修理、トイレと手洗い設備の設置がすべて完了し、これらの保健医療施設に勤務する医療従事者と、同施設を利用する住民11,000人以上が清潔で安全な設備を利用できるようになりました。こうした設備の設計にあたっては、出産などで保健医療施設の水・衛生環境の影響を大きく受ける女性たちや障害を持つ人々のニーズが反映されるよう、現地の女性の地位向上に取り組む団体 FOFeN(the Forum of Feminist Organisations) ならびに障害者団体 ADEMO(the Association of Disabled People in Mozambique)と連携しながら計画の策定を進めました。


施設内の手洗い場で手を洗う医療従事者のティナさん

Image: WaterAid/ Ricardo Franco


②水・衛生設備を維持・管理する体制づくり
給水システムの維持管理を持続させるには、手頃な価格の道具や部品が近隣エリアでいつでも入手できることも重要です。村の近くで交換部品や修理するための道具が入手できなければ、設備が壊れてもそのまま放置され、住民は再び不衛生な水をくむ生活に戻ることになります。このような状況を防ぐために、ウォーターエイドは、新しい給水システムの交換部品を地元で流通させる取り組みも行っています。この取り組みの開始にあたって実施したワークショップには、地元企業を含めて43人が参加し、道具や部品が地域で流通することの重要性について話し合いました。そして、この取り組みを試験的に進めるために、3人の地元企業家が選ばれました。この3人の企業家たちは、販売を開始するための主要な交換部品が入った「スターター・キット」を受け取り、近隣の都市から部品を取り寄せて地元で販売することができるようになりました。


井戸を修理する地元企業家のマリアさん

Image: WaterAid/ Ricardo Franco


③ 家庭への給水網拡大
ウォーターエイドは、保健医療施設に加え、家庭への給水網拡大にも取り組んでいます。これまで、公共の給水設備から11,412人が清潔な水を利用できるようになったほか、新たに88世帯が自宅に専用の蛇口を設置することを希望したことにより、989人が自宅で清潔な水を利用できるようになりました。蛇口にはメーターが取り付けられており、住民が使用量によって水使用料を支払うしくみです。今後、徴収した料金を設備の修理やメンテナンスのために必要な資金に充てられるようにすることで、清潔な水を持続的に使えるしくみを整えました。

④衛生行動を改善する取り組みの実施
地域の人々の衛生行動を改善するため、ウォーターエイドは、保健技術者、市民社会の現場担当者、地域活動家など、地域の衛生行動を促進する「衛生チャンピオン」として選ばれた20人に、トレーニングを実施しました。2024年9月の選挙期間中、クアンバ郡での活動を停止せざるをえないこともありましたが、診療所、学校、市場、水くみ場といった住民が集まる場所を拠点にし、衛生チャンピオンたちは、これまでに住民1,479人に衛生トレーニングを実施しました。衛生トレーニングを受けた1,479人が、トイレ135基、食器乾燥棚166基、手洗い設備30基などを建設し、さらに3,780人の衛生行動が改善されました。


衛生トレーニングに参加する女性たち

Image: WaterAid/ Ricardo Franco


ウォーターエイド・モザンビークのプログラム・マネージャーであるホセ・チルパネは、次のように話します。

「私はウォーターエイドで働き始めて6年になります。このプロジェクトは、私たちが近年実施した最も革新的なプロジェクトのひとつです。プロジェクトの最終年度である今年度の上半期、これまでの活動の真の効果が現れ始めています。より多くの家庭が新しい給水システムに接続するにつれて、新しい給水システムが本領を発揮しています。衛生行動を改善する取り組みも順調なスタートを切り、3,780人の衛生状態が改善されました。

残念ながら、選挙により、モザンビーク全土が混乱した時期がありました。本プロジェクトを担当するチームは、こうした混乱による影響を最小限に抑えるため、選挙前に衛生行動変容チャンピオンのトレーニングなどの活動を前もって計画し、スケジュールを組んだのですが、騒乱の規模が大きかったため、一部の活動(特に地方政府の関与が必要な活動)は延期せざるを得ませんでした。

クアンバを訪れるたびに、私は、村の衛生トレーニングに参加する人たち、 村の衛生研修に参加する人々から、診療所全体を管理する人々まで、地域の人々が尊厳を持って活動に従事していることに気づき、感銘を受けています。コミュニティがひとつになれば、長期にわたる変革が可能になるのです」


東京マラソン2024チャリティを通して、お寄せいただいたご寄付が、モザンビークの人々の暮らしに大きな変化をもたらしています。温かいご支援を本当にありがとうございました。




ウォーターエイドは、2026年3月1日(日)に開催される東京マラソン2026にも寄付先団体として参加します。寄付金及びチャリティランナーの募集情報は、ぜひウェブサイトをご確認ください!

https://www.wateraid.org/jp/lp/tokyo-marathon-2026-charity


ウォーターエイドジャパンは、東京マラソン2026チャリティの寄付先団体です。

https://www.runwithheart.jp/